エブリイをワンオフ、コンセプト持ち込みで軽キャンピングカーに!断熱、FFヒーター、サブバッテリを埋め込み取付。企画、作業編

目次

はじめに

今尾電機ではキャンピングカーカスタムにおいて、「コンセプトの持ち込み」を推奨しております。

今尾電機は小売店でもなければ、カスタム店でもありませんし、車検場でもありません。

だからこそ、お客様の要望に合わせていろんな角度から対応できます、ハイ。

さて今回お客様がお持ち込みいただきましたコンセプトは、、、!

「軽キャンピングカーで自宅と同等レベルのリビング兼寝室」

さぁ、始めましょう。1ヶ月間にわたるお客様と今尾電機の共同作業、追体験していただければ。私も嬉しいです。

新古車でご購入いただきましたエブリィです。

もちろん今尾電機で販売したわけではありませんが、車両探しからご相談いただいておりました。

ベースはDA17Vのエブリィバン。

社外ナビ、前後ドラレコ、リヤカメラのみ標準で取り付けされておりました。

最初の段階では、お客様が選ばれたベッドキット、ソファがあるのみ。

まさにまっさらな状態です。

ここから今尾電機がお客様のコンセプトを実現に向けて作業いたします。

なお、車両お預かりの前にお客様の最初の理想、もちろんそのコンセプトをどうやって実現していくか。

どんな風に形作るのかをお客様と綿密に打ち合わせを行い、社内でも緻密に作業計画を練っております。

私どもも勿論真剣ではございますが、オーナー様も大変だったかと思います。

お付き合いいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。

企画、コンセプトの詳細

軽キャンピングカーで自宅レベルのリビング環境を実現するために絶対に必要なことは

室内への埋め込み、つまり車室内スペースを一切狭くしないことです。

家具の装着やデザインの関係などで、狭くなっては本末転倒。

そこで、前回施工した内容を用いて検討していきます。

前回施工した64W、エブリィワゴンの内容はこちら↓

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トランク、後席下のこの空間を使用します。

しかし、今回は前回とは異なり様々な電装品を仕込む予定ですので、回路はさらにややこしくなる予定です。

さらに車両のデッドニング、断熱を施工します。

エブリィ自体はただの鉄板の塊です。そのままでは外の気温をかなり伝えてしまいます。

基本中の基本ではございますが、それを防ぐために車両全体にデッドニングを施工します。

寝室、つまり車中泊だけならデッドニングと室内埋め込みだけで対応できますが

今回のコンセプトは、「自宅と同等レベルのリビング兼寝室」

リビングにはテレビがないといけません。そこで今回はナビの他に、リヤモニター、後席テレビを取り付けます。

後席のテレビはこのような角度で稼働するように。

こうすることでどのモニターを使用するのかをケースバイケースで使用可能になります。

上記の他にも大枠の機能は以下の通りです、これを全て実現していきます。

ナビ、ヘッドレストモニター、後席テレビ三つの独立使用と連携での使用

車両天井、床下、エンジンルーム、タイヤハウス周りのデッドニング、断熱

ブロアモーターをエンジン停止時も使えるように。夏場は換気システムとして使用

外部電源で、コンセントを使用、同時にサブバッテリーへの充電、充電状態の把握

FFヒーターの車室内使用、同時に車両に埋め込み

各種必要電源、USBソケット、シガーソケットをできるだけ多く増設

バックドアを室内から開けられるように。

最初に工場の施工担当者に内容を伝えた時は、閉口されました笑

それはもう、大変ですからね。

それでは、実際に作業していきましょうか。

作業

まずはここから。FFヒーター取付です。

FFヒーターの位置が決まりませんと、以降の配線も決められません。

エブリィはFFヒーター取り付けの際、マフラーを外す必要があります。

もちろん今回は車両埋め込みですので、シート類も外します。

前回施工したとはいえ、64のワゴンとは異なる車両寸法。

さらに今後の組み込み電装品との組み合わせも考え、緻密に計算します。

当然、サブバッテリーも埋め込みしなければなりませんので、非常に困難な計算です。

寸法の測定と、各種取り付け部品の寸法を考えて、一つずつ計算していきます。

並行してデッドニングを施工していきます。

今回は後席だけでなく、全面の施工ですので車内シートを含めて全て取り外します。

エンジンルームからの熱、音を軽減するためにここにも別でデッドニングを施工します。

使用するデッドニング剤はこちら。

各社が出す高級デッドニングキットでは全く足りませんし、もちろん費用がかさみます。

今尾電機としては、この青シートが安く、効果も高いのでほとんどこれです。

こいつを二重に貼ります。

ここのフロントタイヤハウスの部分が思いのほか水が当たる音やロードノイズの原因になってますので

追加で施工です。

どんどんいきましょう。

天井も施工いたします。

もちろんトランクも施工しますが、FFヒーターの配線、バッテリーシステムの取り付けもありますので

先に天井の方も施工していきます。

コストダウンなのはわかってますが、それにしても薄い鉄板です。

雨音が響くのも頷ける構造ですねぇ、、、

とにかくあらゆるところがただの鉄板一枚ですので、できるところは全てデッドニングします。

せっかく外すのですから。

高いデッドニング剤を使いますと、制限がありますが、比較的安価なものですのでギッチリ敷き詰めます!

天井はあまりに重量感のあるものを使うと、天ばりが落ちてくる可能性がありますので

少し軽量なものを使用します。

これだけ敷き詰めると、、、壮観の一言でございます。

フロント部
サイド

作業員「ちゃ〜んと、端まで詰め込んでおいたからね!写真撮っといてよ〜」

左スライドドア内側のデッドニング

フロント、サイドのドアは外側と内側で二重で施工していたしました。

これで外側からの音はほとんど聞こえません。

スライドドア表のデッドニングの様子
フロントドアのデッドニング
内側はこんな感じ。

大部分のデッドニングは完了。まだまだこれからです。

さぁここからが本番、電装系の作業に移っていきます。

電装系取り付け

今回の車両はエブリィバンですので、各種制御系を求めるスイッチパネルをどうするかは難しい問題でした。

オーナー様の使用状況を鑑みて取り付けられる場所は一つだけ。

サイドパネルのみ。

ここに制御系の全てを集約します。

内側はほとんど空いておりますので、配線を組む余裕が少しだけあります。

最終的にはこのスイッチパネルに被せる形で机が置かれる予定。

もちろんコンセント部分に当たるのはNGですので、計算します。

よしよし、大体形が定まって参りました。

いざ、車両埋め込みに挑戦です。

今回埋め込みする部品は以下の通りです。

FFヒーター

サブバッテリー

走行充電器

外部充電用バッテリーチャージャー

インバーター

取り付けするFFヒーターはベバスト。

寸法上、これしか取り付けできません。

費用面から見て厳しい選択ではございますが、これだけはどうしようもないです。

FFヒーターは本当にギリギリ。

ぶっちゃけ普通は入りません。

エブリィにFFヒーターを取り付けるなら、やはりここが理想かと考えます。

手間暇と僅かなスペースを活用すれば可能でございます。

もちろん配線、配管類も普通にやるよりずっと手間がかかります。

なんとか取り付け完了。

この部分から、直接ドアのパネルに直接風が当たると暖房効率は悪いのでダクトを出す予定。

どこに出すかはもう少し考えます。

FFヒーター取り付け部は、そこまでデッドニングできませんが

右側はしっかりデッドニングでございます。

あとは全てを埋め込むべく、計算と工夫ですが、、、ここからは二人体制。

埋め込み係とスイッチパネル製作係二人で施工します。

先にスイッチパネル裏側の空間もびっちりデッドニング。

とにかく全ての電装品のコントロールをこちらで行うので配線は困難を極めました、、、

リレーもヒューズも電装品の数だけ組みました。

特に大変だったのが、ブロアモーターをエンジン停止時も使用する配線です。

かなり組み上がりました。

その間に車両埋め込み係も終えたようです。

入れ込んだ結果、どうしても寸法が変わりましたのでワンオフで蓋も製作しました。

さぁ、どうなった!

テレビの取り付けも終わり、かなり形になりましたね!

本当にすべて埋め込むとは、、、依頼した私もびっくりです。

三つ目のモニターは、独立電源はもちろんのこと、地デジも独立して受信できるように

別で地デジチューナーを取り付けしております。

詳しい動作は完成編で、詳しく!

リビングとして使えるように間接照明風にしたい!

これは当初から私が思っていた構想の一つでしたが、非常にいい雰囲気に仕上がってきましたね。

この状態で取り付け予定の電装品は全て取り付け済み!

あとは仕上げでございます。

バックドアもできるだけデッドニングして。。。

完成!!

うぉぉぉ、長かったです!

達成感たるや、、、

詳しい仕様は完成編で記載いたしますが、今回お客様より嬉しいお声をいただきましたので

お客様より了承をいただき記載いたします。

さぁさぁ!次は完成編でございますね〜

お客様ご感想

エブリィバンを購入して自分仕様の軽キャンピングカーに仕上げたいと思っていました。
しかし、キャンピングカーブームで気に入ったキャンピングカーのビルダーさんは施工に1年以上待ちがほとんど。
そんな中、ブログで今尾電機さんを見つけました。電装系に強いしデッドニングも丁寧に実施してくれそうだと思い連絡・相談したところ、施工に快諾してくれました。
私の理想として、軽キャンピングカーで自宅と同等レベルのリビング兼寝室にしたいというコンセプトで以下の機能をお願いしました。
①2台のモニターを付けてテレビとネット番組を同時視聴したい。
②FFヒーターを付けて寒冷地車中泊も快適に過ごしたい。
③家電のいろいろな使い方を想定して100Vコンセント、USBポート、シガーソケットを装備したい。あと、LED照明をつけたい。
④エンジンを切った後もカーナビ、ブロアファン、パワーウィンドウを使いたい。
⑤防音、断熱を可能な限り行いたい。
⑥上記の機能をエブリィバンの荷室スペースを減らす事なく床下などに収納し、リビング兼寝室スペースを確保したい。

内容が盛りだくさんということもあり、1ヶ月強エブリィバンを今尾電気さんにお預けしました。預けている間も、他の方のレビューにもあるとおり、詳細な加工状況の写真や動画をLINEでご報告いただき、追加機能や修正のお願いもメッセージや電話で相談させてくださいました。
また、当初想定外でしたが、クルーズコントロールも提案していただき追加で仕上げてもらいました。
嬉しさ余って納車直後にその足で、友人と山奥に車中泊旅行へ出掛けました。高冷地の車内でFFヒーターで暖を取り、モニターで映画鑑賞しながら食事を楽しんでリビングとして満喫し、就寝時は寝室としてFFヒーターを切って寝ましたが、デットニングの断熱効果で寒さも全く感じなかったです。広さが確保できてるので軽バンでありながら2人分のリビング兼寝室スペースが完璧に確保でき大満足です。また、クルーズコントロール機能も長距離ドライブには重宝してます。

ずっとLINEで対応していただいたフロントの方、サポートし続けてくださった社長さん、そして直接お会いしてお礼できなかったことが残念でならない技術施工担当者さん、皆さん本当にありがとうございます。今後とも是非よろしくお願いします!

いやぁ読めば読むほど恐縮です。

こちらこそありがとうございました!

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